現在、猫の平均寿命はおよそ15年(令和2年全国犬猫飼育実態調査)です。
この寿命がなんと2倍になる!というのだから、猫好きにとってこんなに嬉しいことはありません。
猫の死因はほとんどが【腎臓病】。宿命といっても良い病気です。
どうして猫は腎臓病にかかりやすいのか?
その原因は、これまで長い間ずっと謎のままでした。
本書では、著者宮崎教授が【猫の腎臓病】の原因をつきとめた経緯、治療法や治療薬の開発について、詳しくまとめています。
先日、本書を読み終えたので、感想をレビューしたいと思います。
猫の欠陥?腎臓病を予防する「AIM」が機能しない!
本書の著者 宮崎教授は、実は獣医師ではなく、(人間の)消化器などを専門とする医師。
宮崎教授の研究の中で、人間の血中に「AIM」というタンパク質を見つけ、これがどういう働きをするか調べるため、他の動物にも着目しました。
マウス、犬、猫…
調べてみて分かったことは、なんとネコ科の動物だけが「AIM」が機能しないということ。
でも、「AIM」が機能しないと、どんなことが起こるのでしょうか?
研究を進めるにつれ、AIMは血中のゴミに付着して、血液の掃除を助ける働きがあることが分かりました。
人間や犬、マウスはAIMのおかげで血中がきれいに保たれているのですが、猫はこのAIMがうまく働かない。
そうすると、猫の血中にどんどんゴミが溜まっていきます。
臓器の中でも、このゴミに弱いのが腎臓。
腎臓の中の尿の通り道にゴミが詰まり、腎機能の低下を引き起こしてしまいます。
これが、猫に腎臓病が多い理由なのです。
猫に「AIM」を投与すれば、腎臓病が治る?
宮崎教授の研究発表の中で、猫の「AIM」が機能しないことを話題にすると、それを聞いた獣医師から大きな反響があり、実際に腎臓病に苦しんでいる猫にAIMを投与してみようということになりました。
治験の対象に選ばれたのは、腎臓病のステージⅣ、余命1~2週間と宣告された猫。
研究室で精製されたAIMを、定期的に猫に注射で投与します。
その結果については、写真付きで詳しく綴られているので、本書にて是非ご確認ください!
本書を読み終えて
本作品は、前半部分がAIMを発見するまでの教授の半生について、後半部分が猫への投薬の実用化についてといった構成になっています。
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前半部分は医学的な話になるので、少し取っつきづらいかな?と予想していたのですが、宮崎教授がわかりやすい言葉で説明をしているため、文系のまる子でも難なく読むことができました。
宮崎教授は、学生時代に初めて書いた論文が、国際学術誌のトップとして名高い「ネイチャー」に掲載されるほどの才能を持ちながら、常に「治せない病気をなくしたい」という信念のもとに努力を続けており、その誠実な人柄がよく伝わってきました。
後半部分は猫の寿命にフォーカスした話になり、大の愛猫家であるまる子は「一言も漏らすまい!」という気持ちのもと、普段見せない集中力で本書に読みふけりました。
先ほども少し触れましたが、腎臓病の猫に対する治験の章では、AIMを投薬したときの猫の反応が写真を使って詳細に描かれており、今まで飼ってきた猫や、現在の愛猫ミュウちゃんの姿を重ね合わせ、ついつい涙してしまいました。
また、「AIMが承認されたら、絶対に愛猫に使ってあげたい!」という気持ちが強かったまる子は、AIMの注射やキャットフードへの実用化の章については、特に興味深く拝読しました。
実用化に向けて着実にステップを踏んでいるエピソードにわくわくが抑えきれず、ひとりで興奮している姿を夫に見られ、不審がられたり(笑)
<2022年3月更新>
AIMの働きを助ける「A-30」を含んだキャットフード、マルカン「AIM30」が発売されました!AIMの働きを助ける唯一のフードです。(※2022年3月時点)
マルカン「AIM30」について、購入レポを別記事にまとめておりますので、興味のある方はご覧ください。
感想が長くなりましたが、まとめると、人間の医師でありながら、「猫の治らない病気をなくす」ことに貢献した宮崎教授への尊敬の念と、AIMの実用化への期待がとんでもなく高まる、そんな読み応えのある本でした。
全国の猫飼いさんに、絶対おすすめしたい一冊です。
すべての猫が30歳まで生きられる日がいつかやって来ますように。
それでは今日はこの辺で。
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