猫や犬の避妊(去勢)手術の手段として近年注目されている腹腔鏡手術。
生後半年を迎えたわが家の愛猫ミュウちゃんも、この手術を体験してきました。
獣医さんからの説明やわが家の体験をもとに、腹腔鏡手術についてシリーズでまとめます。
猫の腹腔鏡手術とは?
お腹の2~3か所を数ミリ切開してカメラや特殊な器具を挿入し、モニターに映し出された映像を見ながら手術を行います。
通常の開腹手術に比べて、傷口がとても小さいことが最大の特徴です。
人間も、癌の手術などでよく用いられている手法です。
猫や犬の場合、主に避妊手術にこの術式が適用となります。
わが家のミュウちゃんも、避妊手術を受ける際にこの腹腔鏡手術を選択しました。
腹腔鏡手術のメリット
腹腔鏡手術のメリットは主に3つです!
・小さな傷で手術が可能(数ミリの傷が2~3か所)
・日帰り手術が可能なことが多い
・傷が小さいため、体内の炎症を抑えられ、痛みが少ない
まずは何といっても小さな傷で手術が可能なこと。
ミュウちゃんの場合、3ミリの傷と5ミリの傷1か所ずつのみでした。
一般的な開腹手術(3~5センチ切開)と比較して、体への負担を最小限に抑えられます。
愛する猫ちゃんのために、一番大事なことですよね。
次に、日帰り手術が可能なこと。
避妊手術は1泊入院が一般的ですが、腹腔鏡手術の場合はほとんどが日帰り可能です。
体への負担が小さく、回復が早いためです。
わが家のミュウちゃんはとても寂しがり屋さん。
入院に耐えられないだろうなと思っていたので、まる子にとってこれも大きなポイントとなりました。
さらに、傷が小さいため、痛みが少ないこと。
ぐったりすることもなく、食欲もいつも通りのことが多いそうです。
ミュウちゃんの場合、痛みをほぼ感じていなかったのか、手術から帰宅後すぐ食べたり走ったり…
いつもと変わらない姿にとても驚きました。
腹腔鏡手術のデメリット
腹腔鏡手術のデメリットは以下の2つです!
・対応できる病院が少ない
・手術費用が高額
まずは腹腔鏡手術を扱っている動物病院が少ないこと。
新しい術式のため、都内でもそれほど多くはありません。
わが家の場合、近くの病院では扱っていなかったため、家から約1時間の病院に頑張って通いました。
次に、手術費用が比較的高額であること。
猫の避妊手術はおよそ2~3万円が平均とされていますが(診察料・麻酔等含まず)、ミュウちゃんの腹腔鏡手術は約5万円。
これに診察料や麻酔代、検査費用やお薬代を合わせると、約10万円の費用がかかりました。
ただし、かなりセレブな病院を選択してしまったため、場所によってはもう少しリーズナブルなところもあるかと思います。
腹腔鏡手術の流れ(術前検査~抜糸)
次に、術前検査から抜糸までのおおまかな流れを紹介します。
病院に行ったのは、全部で3回だよ!
術前検査
手術前日までに行います。
前日深夜0時より絶食。水はOK。
レントゲン検査や血液検査を実施し、腹腔鏡手術の適応となるか確認します。
このときに手術の詳細について説明を受けました。
手術当日
前日深夜0時より絶食。水はOK。
熟練した先生であれば、手術は20分程度で完了するそうです。
手術後2時間程度病院で様子を見てもらい、問題がなければそのまま帰宅できることがほとんどです。
抜糸
手術後1週間後に抜糸。
抜糸の際に傷跡をチェックし、治り具合を確認します。
結論:費用に余裕があるなら腹腔鏡手術を選択するべき
ここまで腹腔鏡手術のメリット・デメリット、大まかなスケジュールについてまとめました。
ミュウちゃんの腹腔鏡手術を受けて感じたことは、本当に体への負担が少ない!!ということです。
かつて実家で飼っていた猫の避妊手術や去勢手術をしたときは、数日間ぐったりで食欲もないといった具合でした。
しかし、腹腔鏡手術後のミュウちゃんの様子は全く違います。
走る、ジャンプする、食べまくる…元気すぎて本当にびっくりしました。
病院が少ないことや費用が高額であるデメリットはあるものの、やっぱり愛猫の体が一番大切。腹腔鏡手術の良さを広めたいと思い、この記事を執筆しました。
術前・術後のミュウちゃんの様子は、長くなるので別記事にまとめます!!
【参考】卵巣摘出術と子宮卵巣全摘出術の違い
腹腔鏡避妊手術の場合も通常の開腹出術と同様に、卵巣摘出術と子宮卵巣全摘出術のどちらかを選択することができます。
卵巣摘出術とは、卵巣のみを摘出し子宮はそのままにしておく方法です。
それに対し子宮卵巣全摘出術では、どちらも取り出す方法となります。
最近では、卵巣摘出術が主流とのことで、ミュウちゃんの病院でも前者をおすすめされました。
違いはわかったけど、どうして卵巣摘出術がおすすめなの?
理由は2つです。
まず、卵巣摘出術の方が体への負担が少ないこと。
卵巣のみ摘出するため技術的には高度ですが、傷跡が小さく済むメリットがあります。
そのため、手術後の回復が早いです。
次に、卵巣摘出術と子宮卵巣全摘出術の間での生殖器疾患の発生率は変わらないことです。
子宮を残してしまうと、将来子宮蓄膿症等の病気にかかると心配する意見もありますが、子宮疾患は卵巣からのホルモンの影響により発症するもの。
そのため、卵巣を取ってしまえば子宮の病気にかかることはないことが近年の研究で明らかとなったそうです。
※参考文献
Ovariectomy versus ovariohysterectomy. Is the eternal argument ended?
2008 Jolle Kirpensteijn
Making a rational choice between ovariectomy and ovariohysterectomy in the dog: a discussion of the benefits of either technique.
2006 van Goethem B, Schaefers-Okkens A, Kirpensteijn J
以上、まだまだ情報が少ない腹腔鏡避妊手術についてまとめました。
まだまだ書き切れないことがあるので、シリーズとして引き続き執筆予定です。
それでは今日はこの辺で。
<追記>
腹腔鏡避妊手術の体験記事を公開しました。
興味のある方はご覧ください!
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